「NICHIAではたらく」を知るマガジン

2025.05.09
【異職種対談】分野を越えて共鳴する、開発者たちの化学反応

MEMBER
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第一部門 技術本部 技術部
T.Y.(2010年入社)
徳島県出身でリチウムイオン電池用正極材料の開発を担当。将来はチームを牽引するプロジェクトリーダーを目指す。
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第二部門 先進商品開発本部 先進商品開発部
A.G.(2009年に入社)
徳島県出身で先進商品開発本部にて車載LEDの製品設計を担当。市場のスタンダードとなる製品開発に挑戦している。
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第三部門 磁性材料開発室
S.A.(2013年入社)
徳島県出身で現在は磁性材料の開発を担当。入社後に会社の後押しを受けてビジネススクールに通いMBAを取得した。
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第二部門 LD事業本部 LD研究開発部
K.H.(2016年入社)
神奈川県出身で電線メーカーに5年ほど勤務した後、中途入社。豊富な経験をもとに次代のLD開発を牽引している。
※所属は2025年2月28日時点
それぞれの専門領域を追求しながら
今回はNICHIAの研究開発において、異なる部署で活躍する皆さんにお集まりいただきました。それぞれのプロフィールと現在の仕事内容を教えてください。
T.Y.
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現在はリチウムイオン電池用正極材料の開発に携わっています。電池材料は正極材、負極材、電解液、セパレーターに分類されますが、NICHIAでは特に正極材料の開発・製造に注力しています。電池メーカーであるお客さまからの要望に対して新しい正極材料を提案し、品質合格を得るための技術開発を行っています。
A.G.
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ヘッドライトやウインカー、自動運転のインジケーターなどに使われる車載LEDの製品設計を担当しています。その中でもCSP(チップ・スケール・パッケージ)と呼ばれる超小型のパッケージを中心に開発しており、その明るさと使いやすさは市場でも高く評価されています。
S.A.
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化学材料全般を扱う部門で磁性材料の研究開発を担当しています。自動車用モーターや通信機器など、先端分野に不可欠な技術要素です。現在、私が担当している高周波通信対応のソフト磁性材料は、5G/6G時代の通信性能を支えるキーマテリアルとして応用範囲がどんどん広がっています。
K.H.
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LD(半導体レーザー)の先行開発を担当しています。LEDと比べてLDは指向性が高く、狭い波長域で高出力な光を出すことができるのが特長です。近年では可視光を使ったプロジェクターやプロジェクションマッピング、ヘッドライトといった用途のほか、次代の金属加工を担う高出力レーザー光源としての活用も期待されています。
試行錯誤の向こうに、心が動く瞬間がある
それぞれの部署で専門性の高い技術開発を行っているのですね。どのような部分に、やりがいや面白さを感じますか?
T.Y.
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電池メーカーからのシビアな要求スペックをクリアした時です。正極材料に対する要求は非常に厳しく、簡単にはクリアできないことばかりですが、要求を技術力で突破し、品質合格をいただけた際の達成感は本当に大きいですね。車載電池やスマートフォン、ゲーム機など、市販されている製品に自分が関わった材料が使われていると「やっていてよかった」と心から思います。
A.G.
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LEDのCSPパッケージ設計では、非常に小さな空間の中に性能を詰め込む必要があります。いくつものハードルを乗りこえ、設計通りの性能がきちんと数値に表れた瞬間は、言葉にできないほど嬉しいですね。
S.A.
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磁性材料開発のやりがいは、まだ世の中に出回っていない最先端の材料や素材の研究ができることです。たとえば、数グラムしか作れない材料をラボスケールから量産試作に向けてスケールアップさせていく中で、技術的なハードルなどを乗り越え、これまでにない特性を示す結果が得られた時は飛び上がりたくなるほど嬉しくなります。
K.H.
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お客さまのニーズが多様であることがLD開発の一番の難しさでもあり、やりがいでもあります。「波長がブレないこと」を重視する方もいれば、「高出力が最優先」だと考える方もいますから。どうすればお客さまの期待を超えられるかを考えながら、日々ものつくりに励んでいます。
部署を超えて融合する熱意と知見
他部門や他職種の方々と、どのような連携を図っていますか?
T.Y.
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NICHIAには、カルシウム塩類や蛍光体、磁性材料などで培った、さまざまな「粉体」のノウハウがあります。他部署と連携することによって、そういった技術や製造工程を参考にしながら開発業務を行えるメリットがあります。
A.G.
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私たちの部署で設計したLEDを量産に落とし込むには、材料開発や製造技術、品質評価など多くの部門との連携が必要です。他部門に新しい設備などが導入された際には、設計に活かせるよう何度も足を運んでいます。和気あいあいとした雰囲気の中での意見交換から、新しいアイデアや技術、コストダウンのヒントが生まれることも多いです。
S.A.
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磁性材料の基礎研究的な面では分析担当と連携を図ることが多いですね。性能を評価するために高度な分析が必要になる際は、分析の担当部署と相談しながら進めています。また、製造技術的な面では装置設計部署と連携しながら、新しい材料に適した製造方法を考え、装置の仕様についても議論を重ねながら開発を進めています。
K.H.
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LD開発の現場では、顧客や外部パートナーと共同開発を行うこともあります。たとえば、ある技術に強みを持つ会社と、NICHIAの光源技術を組み合わせてモジュールを開発するケースなどです。先端的な技術を持つ方々とのやり取りから多くの知見を得ることができ、良い相乗効果が生まれています。
多くの人と関わりながら仕事をしているのですね。NICHIAの職場環境をどのように感じますか?
T.Y.
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「まずはやってみろ!」という精神のもと、若手の頃から新しい研究を任せてもらえる環境があります。これまで取り組んだことのないテーマにも挑戦する機会が多くあるので、モチベーションも保ちやすいですね。
A.G.
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私もそう思います。実は先日、部下に「こんなことやってみたい」と相談を受けたんです。正直それは無理じゃないかなと思ったんですけど(笑)、「まずはやってみよう」と承諾しました。自分もかつてそうやって育ててもらったので、失敗してもいいから挑戦することに意味があると思っています。
K.H.
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経営層との距離が近く、投資への意思決定が早いのもNICHIAの特長ですよね。本当に必要であれば、すぐに稟議を通して設備を導入してもらえますから。その結果として、研究開発のスピードアップにもつながっていると感じます。個人の情熱と会社の必要性が揃えば、若手でも大きな仕事に挑戦できる風土があります。
S.A.
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私が研究企画の部署にいた時に、MBA(経営学修士)の取得を会社に後押ししてもらいました。週末には大阪のビジネススクールに通いながら勉強をさせていただき、本当に感謝しています。それなりのハードルはありますが、自分のやりたいことに関しては学びの場を与えてくれる会社だと感じています。
挑戦を応援する企業文化のもとで
今後、挑戦していきたいことはありますか?
T.Y.
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入社以来、正極材料の開発を担当してきましたが、これからも継続してリチウムイオン電池の可能性を突き詰め、今後は車載向けのコバルトフリー電池の開発を進めていきたいです。ただ、10年以上同じ部署にいるので、チャンスがあれば他の職種にも挑戦してみたい気持ちも少しだけあります。
A.G.
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現在、自動車業界は急速に変化しており、新しいニーズやトレンドが常に生まれています。このような情報を先読みできる力を鍛え、新しいLEDのコンセプトを世界中のお客さまに提案していきたいです。各部門のエキスパートを選出したプロジェクトリーダーとして、他社が真似できないような新しい市場を切り拓いていきたいです。
S.A.
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磁性材料は、まだ市場が確立されていない分野です。だからこそ「これからの市場そのものをつくっていく」という意識で取り組んでいます。自分の担当する材料が商品化され、世の中に出回ることを目指す中で、ものつくりや組織の魅力を社内外に伝えていければ嬉しいですね。
K.H.
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私もLDの先行開発に関わっている立場として、新しい光源をどう市場に展開していくかという視点を常に持っています。今後は顧客や企画部門とも連携しながら、新たな市場を意識した開発・提案を実現したいです。そのためにも、まずは自分自身の能力を向上させ、業務領域をさらに広げていきたいと思っています。